「退去立会いは管理会社に任せているけれど、正直どこまで確認できているのか分からない」「立会いのあとで入居者と費用負担をめぐって揉めてしまった」——賃貸物件のオーナー様や管理会社様から、こうしたご相談をいただくことがよくあります。
私は株式会社LMLの代表を務める島田昌幸と申します。埼玉県草加市を拠点に、原状回復工事・水回りリフォーム・内装リフォームを手掛けてまいりました。現場で工事を担当していると、費用精算で揉める案件の多くは、工事そのものではなく「退去立会い」の段階でつまずいていると感じます。確認漏れや記録不足があると、あとから「言った・言わない」の話になり、敷金精算が長引いたり、本来は入居者様にご負担いただけた費用をオーナー様がかぶることになったりするのです。
今回は、退去立会いの基本から、事前準備、当日のチェックポイント、揉めやすい場面、記録の残し方まで、現場の実務目線でお伝えします。

退去立会いとは?誰が、いつ、何をするのか
退去立会いとは、入居者様が部屋を明け渡す際に、貸主側(オーナー様や管理会社様)と入居者様が一緒に室内の状態を確認する作業です。一般的には鍵の返却日に合わせて行い、所要時間は1K・1DKで30分前後、ファミリータイプでも1時間程度が目安です。
立会いで行うことは、大きく分けて次の3つです。
- 室内の傷・汚れ・設備の不具合を確認する
- その損耗が「通常の使用によるもの」か「入居者様の故意・過失によるもの」かを整理する
- 確認した内容を書面に残し、双方で署名する
ここで確認した内容が、その後の原状回復工事の範囲と、敷金精算の根拠になります。つまり退去立会いは、工事の「設計図」をつくる最初の工程でもあるのです。
立会い前に準備しておきたい3つのもの
当日慌てないために、事前に次の3つを手元にそろえておくことをおすすめします。
1. 入居時の記録(チェックシート・写真)
入居時にどのような状態だったかが分からなければ、退去時に見つかった傷が入居中についたものかどうかを判断できません。入居時のチェックシートや写真があれば必ず持参しましょう。記録がない物件では、次の入居者様から入居時の写真を残す運用に切り替えるだけでも、将来のトラブルを大きく減らせます。
2. 賃貸借契約書と特約の内容
「ハウスクリーニング費用は入居者負担」といった特約があるかどうかを、事前に確認しておきます。なお特約は、内容が具体的に明記され、入居者様がそれを理解・合意していることが有効性の前提になります。
3. 国土交通省のガイドライン
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、費用負担の考え方を示した基準として広く使われています。また2020年施行の改正民法でも、通常の使用による損耗や経年変化は借主の原状回復義務に含まれないことが明文化されました(民法621条)。この考え方を押さえておくと、入居者様への説明に説得力が生まれます。
当日のチェックポイント(場所別)
立会い当日は、玄関から奥へと順番に確認していくと見落としを防げます。私が現場で実際に見ているポイントをまとめました。
玄関・居室
床の深い傷や凹み、壁クロスの破れや落書き、画びょう穴より大きな釘・ネジ穴、タバコのヤニによる変色、ペットによる傷や臭いなどを確認します。照明を点けた状態で、壁に斜めから光が当たる角度で見ると、小さな傷や汚れも見つけやすくなります。
キッチン・浴室・トイレ
コンロ周りの焦げ付きや油汚れ、長期間放置されたカビや水垢、排水の詰まりや臭い、鏡や設備の破損などを確認します。水回りは日頃のお手入れ不足が原因となる汚れが多く、負担区分で揉めやすい場所です。
設備・建具
エアコン・給湯器・換気扇の動作、ドアや引き戸の開閉、網戸の破れ、鍵の返却本数などを確認します。設備は見た目だけで判断せず、実際に動かしてみることが大切です。

オーナー様と入居者様が揉めやすい5つの場面
ここからは、実際によくご相談をいただく場面をご紹介します。
- クロスの汚れ・変色:日焼けや家具の設置跡は通常損耗、タバコのヤニや落書きは入居者様負担になるのが一般的です。
- 床の傷・凹み:家具を置いていたことによる凹みは通常損耗ですが、物を落としてできた深い傷や、キャスター付き椅子による擦り傷は入居者様負担とされることが多い箇所です。
- 経過年数の考え方:ガイドラインでは、クロスは耐用年数6年で残存価値が1円まで下がるという考え方が示されています。長く住まわれた入居者様に張り替え費用の全額をご負担いただくのは難しいと理解しておきましょう。
- ハウスクリーニング費用:特約がない場合、通常の清掃で落ちる程度の汚れであれば、貸主負担が原則です。
- カビ・結露:結露を放置して広がったカビは入居者様の管理不足とされることがありますが、建物の構造や設備の不具合が原因であれば貸主負担になる場合もあります。
どの場面にも共通するのは、「その場で断定せず、根拠を示して説明する」ことです。立会いの場で感情的なやり取りになってしまうと、その後の話し合いがこじれやすくなります。
以前、ある管理会社様から「立会いで入居者様に全額負担と伝えてしまったクロスの張り替え費用を、あとから減額せざるを得なくなった」というご相談をいただいたことがあります。入居期間が8年を超えていたため、経過年数を考えると入居者様にご負担いただける金額はごくわずかでした。立会いの場では「ここは工事が必要ですね」という事実の確認にとどめ、負担割合は見積もりとあわせて後日ご説明する。この順番を守るだけで、多くのトラブルは防ぐことができます。
トラブルを防ぐ記録の残し方
立会いの内容は、必ず「写真」と「書面」の両方で残します。
写真は「全体」と「近景」をセットで撮る
傷の近景だけでは、部屋のどこにあったのかが分かりません。まず部屋全体を撮影してから傷や汚れに寄って撮り、大きさが分かるようにメジャーを添えると確実です。撮影日時が記録される設定にしておきましょう。
チェックシートに双方が署名する
確認した箇所と、負担区分の見込みを記載し、入居者様と貸主側の双方が署名します。その際、「修繕費用は見積もりのうえ後日ご連絡します」とお伝えし、その場で金額を確定させないことも大切です。
見積もりには根拠を添える
後日、入居者様に費用をお伝えする際は、どの箇所の工事にいくらかかり、そのうちどの程度をご負担いただくのかを明示します。写真と見積書の項目が対応していれば、入居者様の納得感は大きく変わります。
Q. 入居者様が立会いに参加できない場合はどうすればよいですか?
遠方への転居などで立会いが難しい場合は、貸主側だけで確認を行い、撮影した写真とチェックシートを入居者様にお送りして内容をご確認いただく方法があります。この場合は特に、写真の枚数を多めに残し、傷の位置や大きさが第三者にも分かるように記録しておくことが重要です。
原状回復業者が立会いに同席するメリット
退去立会いに原状回復の専門業者が同席すると、次のようなメリットがあります。
- 傷や汚れが部分補修で済むのか、張り替えや交換が必要なのかを、その場で判断できる
- 工事範囲と概算費用を早い段階で把握でき、次の入居募集までの段取りが組みやすくなる
- 専門的な立場から入居者様にご説明でき、納得を得やすくなる
特に管理戸数の多い管理会社様にとっては、立会いから見積もり、工事までの窓口を一本化できるため、ご担当者様の負担軽減にもつながります。立会い後の見積もりや工事のご相談は、株式会社LMLの原状回復サービスでも承っております。

草加市周辺で退去後の原状回復工事をお考えの方へ
草加市は都心へのアクセスが良く、単身者向けからファミリー向けまで賃貸需要の高いエリアです。空室期間を短くするためには、立会いの段階で工事内容を固め、すぐに着工できる体制を整えておくことが欠かせません。
当社は草加市に本社、千葉県佐倉市に営業所を構え、埼玉・千葉・東京で原状回復工事を承っております。個人のオーナー様はもちろん、アパートを複数お持ちのオーナー様や管理会社様からのご相談も歓迎しております。対応エリアや施工実績はこちらからご確認いただけます。
まとめ
退去立会いは、原状回復工事の範囲と費用負担を決める最初の、そして最も重要な工程です。
- 入居時の記録・契約書・ガイドラインを事前に準備する
- 場所ごとに順番に確認し、設備は実際に動かしてみる
- その場で断定せず、写真と書面で記録を残す
- 判断に迷う箇所は、専門業者の意見も取り入れる
株式会社LMLは、「できる限り早く、丁寧に、誠実に」を大切に、オーナー様と入居者様の双方が納得できる原状回復を心がけています。立会い後の見積もりだけのご相談でもお気軽にどうぞ。無料お見積もりのご依頼はこちらから、またはお電話(080-5873-1127、受付時間9:00〜18:00、日曜定休)でも承っております。
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